10月病・11月病を乗り切る!今日からできる簡単薬膳

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10月、11月になると、なんとなく体調が優れない、気分が落ち込む、だるい、といった「10月病」「11月病」の症状に悩まされていませんか?これは、季節の変わり目による気温の変化や日照時間の減少が、自律神経の乱れや冷えを引き起こし、心身のバランスを崩してしまうことが主な原因です。本記事では、そんな秋の不調を内側からケアする「薬膳」の考え方と、今日からすぐに実践できる簡単な薬膳食材やレシピをご紹介します。スーパーで手に入る身近な食材で、体を温め、心と体の巡りを整える方法がわかりますので、快適な秋を過ごすヒントを見つけてください。

目次

10月病11月病とはどんな状態

「10月病」や「11月病」という言葉を聞いたことがありますか? これらは正式な病名ではありませんが、秋の深まりとともに多くの人が経験する心身の不調を指す俗称です。新しい環境での緊張が和らぎ始める時期と、季節の変化が重なることで現れやすいのが特徴です。特に、4月から新しい生活を始めた新入社員や学生に多く見られる傾向がありますが、誰にでも起こりうる季節性の不調と言えるでしょう。

これらの不調は、医学的には「秋バテ」や「季節性感情障害(SAD)」、特に秋冬に発症する「冬季うつ病」や「ウインターブルー」と関連が深いと考えられています。

秋の不調の主な原因

秋に心身の不調を感じやすくなるのには、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。主な原因は以下の通りです。

1. 寒暖差と気圧の変化による自律神経の乱れ

秋は日中の暖かさと朝晩の冷え込みが大きく、一日の気温差が激しい季節です。また、台風や低気圧の接近による気圧の変化も多くなります。このような急激な環境変化に体が適応しようとすることで、体温調節や内臓の働きを司る自律神経に大きな負担がかかり、バランスが乱れやすくなります。

夏に冷房の効いた室内と屋外を行き来したり、冷たい飲食物を摂りすぎたりしたことで蓄積された「夏の疲れ」が、この自律神経の乱れをさらに助長することもあります。

2. 日照時間の減少によるセロトニン不足

秋が深まるにつれて日照時間が短くなることも、心身の不調に大きく影響します。日光を浴びる時間が減ると、脳内で気分を安定させる働きを持つ神経伝達物質「セロトニン」の分泌量が減少します。

セロトニンは睡眠を促すホルモン「メラトニン」の生成にも関わっており、その不足は体内時計の乱れや睡眠の質の低下にもつながります。

3. 夏の疲れの蓄積とストレス

猛暑による体力消耗や、冷房による体の冷え、不規則な生活習慣など、夏に蓄積された疲労が秋になって表面化することがあります。

また、新生活が始まり緊張状態が続いていた人にとっては、10月頃にその緊張の糸が緩むことで、それまで抑えられていた疲労やストレスが一気に噴き出すことも「10月病」の一因と考えられます。

あなたも感じていませんか心身のサイン

10月病や11月病は、身体的・精神的な様々なサインとして現れます。以下のような症状に心当たりはありませんか?

身体のサイン

秋の不調で現れやすい身体のサインは多岐にわたります。特に、だるさや疲れやすさ、胃腸の不調は多くの人が感じやすい症状です。

症状カテゴリ具体的な症状
全身の倦怠感・疲労体がだるい、疲れが抜けない、すぐに疲れる、体が重い
睡眠の質よく眠れない、寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に目が覚める、いくら寝ても眠い、日中の強い眠気(過眠)
消化器系の不調食欲不振、胃もたれ、便秘、下痢、過食(特に甘いものや炭水化物を無性に食べたくなる)
痛みの症状頭痛、肩こり、首こり
その他手足の冷え、むくみ、立ちくらみ、めまい、寒暖差アレルギー(鼻水、鼻づまりなど)

心のサイン

身体の不調だけでなく、精神的な落ち込みや意欲の低下も秋の不調の代表的なサインです。これらは日照時間の減少によるセロトニン不足が大きく関わっていると言われています。

症状カテゴリ具体的な症状
気分の変化気分が落ち込む、憂鬱な気分、悲しい、寂しい、イライラする、不安感
意欲・活動性やる気が出ない、意欲がわかない、何もする気が起きない、今まで楽しんでいたことを楽しめない
思考・集中力集中できない、物事に集中できない、記憶力・判断力の低下、ぼーっとする
その他社会からの離脱(冬眠のような気分)、ネガティブ思考

薬膳の基本を知ろう

薬膳で体調を整える考え方

薬膳とは、中国の伝統的な医学思想に基づき、食材が持つ効能を活かして心身のバランスを整え、病気を未然に防ぐ「未病治(みびょうち)」を目指す食事法です。日々の食事を通して、私たちの体を構成する「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の巡りを良くし、季節や体質、体調に合わせた食材を取り入れることで、自然治癒力を高めることを目的としています。

「医食同源」という言葉があるように、薬膳では薬と食べ物の起源は同じであると考えます。しかし、薬のように特別なものを食べるわけではありません。スーパーで手に入る身近な食材を組み合わせ、それぞれの食材が持つ「食性(しょくせい)」や「効能」を理解して献立に取り入れることが薬膳の基本です。難しい知識は不要で、毎日の食事に少し意識を向けるだけで、誰でも手軽に始めることができます。

体を温める薬膳の力

10月病や11月病といった秋から冬にかけての不調は、体の冷えや気の滞りが原因で起こることが少なくありません。薬膳では、食材を「体を温めるもの(温性・熱性)」「体を冷やすもの(涼性・寒性)」「どちらでもないもの(平性)」の五つの食性に分類し、体質や季節に合わせて使い分けます。特に、冷えを感じやすいこの時期には、体を内側から温める食材を積極的に取り入れることが大切です。

体を温める食材は、血行を促進し、新陳代謝を高める効果が期待できます。これにより、冷えによって滞りがちな「気・血・水」の巡りが改善され、免疫力の向上や疲労回復、精神的な安定にも繋がります。例えば、ショウガやネギ、シナモンなどは代表的な温性の食材です。これらの食材を日々の食事に加えることで、体を芯から温め、不調を和らげる手助けをしてくれます。

以下に、食性の基本的な考え方をまとめました。

食性体の作用代表的な食材の例
熱性体を強く温める唐辛子、山椒、酒
温性体を温めるショウガ、ネギ、ニンニク、カボチャ、鶏肉、シナモン
平性体を温めも冷やしもしない米、キャベツ、ニンジン、卵、牛肉、大豆
涼性体を少し冷やすキュウリ、ナス、トマト、豆腐、緑茶
寒性体を強く冷やすスイカ、カニ、ワカメ

今日からできる簡単薬膳食材

10月病や11月病の不調を感じ始めたら、毎日の食事から体質改善を試みましょう。薬膳と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実は身近な食材にも体を整える力が宿っています。今日から手軽に取り入れられる食材を知り、心身のバランスを整えていきましょう。

おすすめの旬食材と効能

秋から冬にかけて旬を迎える食材は、その季節の体の状態に合った効能を持っています。体を温めたり、気分を落ち着かせたりする、まさに「食べる薬」とも言える食材を積極的に取り入れましょう。

食材効能(薬膳的視点)10月病11月病への働き
きのこ類(しいたけ、まいたけなど)気を補い、免疫力を高める秋の変わりやすい気候で体調を崩しやすい時期に、体の抵抗力を高め、疲労回復に役立ちます。
根菜類(大根、ごぼう、れんこんなど)体を温め、消化機能を整える冷えやすい体質の方や、胃腸の不調を感じやすい方におすすめ。気力アップにも繋がります。
かぼちゃ気を補い、胃腸を丈夫にする疲労回復や精神の安定に良いとされ、心身のバランスを整えるのに役立ちます。
体を温め、血を補い、気力を高める冷え性や貧血気味の方、気力が低下していると感じる方に特におすすめの滋養食材です。
鶏肉気を補い、体を温める体力低下や疲労感がある時に、滋養強壮として取り入れると良いでしょう。
生姜体を強く温め、発汗を促す冷えを感じる時や、風邪のひき始めに積極的に摂りたい食材です。胃腸の冷えにも効果的です。
みかん気の巡りを良くし、気分をリフレッシュさせるストレスを感じやすい時や、気分が沈みがちな時に、香りを楽しみながら摂るのがおすすめです。
なつめ気を補い、精神を安定させる不安感や不眠、疲労感がある時に、お茶や料理に加えることで穏やかな作用が期待できます。

スーパーで買える薬膳食材

特別な食材を探しに行かなくても、いつものスーパーで手に入る食材の多くが薬膳の考え方に基づいた効能を持っています。日々の買い物で意識的に選ぶことで、無理なく薬膳を実践できます。

食材カテゴリー/具体例薬膳的効能
穀物(米、もち米など)気を補い、胃腸を養う基本的な食材。日々のエネルギー源となります。
豆類(黒豆、小豆など)血を補い、体内の余分な水分を排出する働きがあります。むくみ改善にも。
葉物野菜(ほうれん草、小松菜など)血を補い、肝の働きを助けるとされます。目の疲れやイライラ感の緩和に。
香辛料(シナモン、クローブ、胡椒など)少量でも体を温め、気の巡りを良くする効果があります。料理の風味付けにも。
乾物(昆布、干し椎茸、わかめなど)気を補い、滋養強壮に役立ちます。ミネラルも豊富です。
その他(卵、豆腐など)気を補い、体の潤いを保つ働きがあります。精神安定にも良いとされます。

10月病11月病対策の簡単薬膳レシピ

心身の不調を感じやすい10月病、11月病の時期は、日々の食事から意識的に体調を整えることが大切です。ここでは、体を内側から温め、気分を落ち着かせる効果が期待できる、手軽に作れる薬膳レシピをご紹介します。スーパーで手に入る食材を中心に、忙しい毎日でも取り入れやすいものを選びました。

体を温めるスープ

肌寒さを感じるこの時期は、温かいスープが体に染み渡り、心身を癒してくれます。体を温める食材を積極的に取り入れ、冷えからくる不調を和らげましょう

鶏肉と根菜の生姜味噌汁

鶏肉と根菜は体を温める代表的な食材です。生姜を加えることで、さらに温め効果が高まり、冷えやすい体を芯から温めてくれます。消化にも優しく、胃腸の疲れを感じやすい方にもおすすめです。

材料(2人分)分量
鶏もも肉100g
大根5cm
人参1/2本
ごぼう1/4本
生姜(薄切り)2~3枚
だし汁400ml
味噌大さじ2~3(お好みで調整)
小ねぎ(小口切り)適量

作り方

  1. 鶏もも肉は一口大に切り、大根、人参、ごぼうは皮をむいて食べやすい大きさに切ります。ごぼうは水にさらしてアクを抜きます。
  2. 鍋にだし汁と生姜の薄切りを入れ、鶏肉と根菜を加えて火にかけます。
  3. 根菜が柔らかくなるまで煮込んだら、一度火を止め、味噌を溶き入れます。
  4. 再び弱火にかけ、煮立つ直前で火を止めます。
  5. 器に盛り付け、お好みで小ねぎを散らして完成です。

薬膳ポイント: 鶏肉は気を補い、体を温めるとされ、疲労回復に役立ちます。大根、人参、ごぼうなどの根菜は、体を内側から温め、胃腸の働きを助ける効果が期待できます。生姜は発汗作用と温め作用が強く、冷えによる不調や風邪の予防にも有効です。

気分を落ち着かせるお茶

ストレスや不安を感じやすい時期には、心を落ち着かせ、リラックス効果のあるお茶がおすすめです。香りや温かさで気分をリフレッシュし、穏やかな時間を作りましょう。

なつめと陳皮のほっこりティー

なつめは「食べる輸血」とも言われるほど栄養価が高く、精神安定作用があると言われています。陳皮(ちんぴ)はみかんの皮を乾燥させたもので、気の巡りを良くし、気分をリフレッシュさせる効果が期待できます。この二つの組み合わせは、心身のバランスを整え、穏やかな気持ちへと導いてくれます。

材料(1人分)分量
なつめ(乾燥)3~5個
陳皮(乾燥みかんの皮)2~3g(または市販の陳皮を少量)
400ml
はちみつ(お好みで)適量

作り方

  1. なつめは軽く水洗いし、種がある場合は取り除き、数カ所切り込みを入れるか、半分に切ります。陳皮も軽く水洗いします。
  2. 小鍋に水となつめ、陳皮を入れ、弱火で10~15分煮出します。
  3. カップに注ぎ、お好みではちみつを加えてお召し上がりください。

薬膳ポイント: なつめは血を補い、精神を安定させる作用があり、不眠やイライラ、気分の落ち込みに良いとされます。陳皮は気の巡りを良くし、消化促進やリラックス効果が期待できます。この組み合わせは、心身の疲労を和らげ、穏やかな気持ちを取り戻すのに役立ちます。

まとめ

10月病や11月病といった秋から冬にかけての不調は、気温の変化や日照時間の減少など、心身に負担がかかりやすい時期に多くの人が経験するものです。

本記事でご紹介した薬膳は、特別な食材や難しい調理法を必要とするものではありません。日々の食事に旬の食材や身近な食材を意識して取り入れることで、体を内側から温め、巡りを良くし、心身のバランスを整える手助けとなります。

例えば、体を温めるスープや気分を落ち着かせるお茶は、手軽に実践できる薬膳の知恵です。これらを活用し、質の良い睡眠やリラックスできる時間と組み合わせることで、不調を乗り越え、健やかな毎日を送るための土台を築くことができます。

今日からできる簡単な薬膳と生活習慣の工夫で、10月病・11月病の不調を乗り切り、快適な秋、そして冬を迎えましょう。

この記事を書いた人

石倉 るみ (公式アンバサダー)

薬に頼らず整える薬膳🌿
栄養士歴18年、薬膳料理教室を主宰するママ栄養士です。
スポーツ栄養インストラクターとして、
家庭でも実践できる「簡単薬膳」を発信しています。
軽度ADHDの息子を育てる中で、心と体を整える食卓の大切さを実感。
同じように頑張る方々に寄り添いながら、健やかな毎日を支える食を提案しています。
【体質別相談はこちら】
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