今日からできる!秋の土用で始める「薬膳」生活の基本と実践レシピ

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「秋の土用」は、夏の疲れが残りつつ、本格的な冬へと向かう季節の変わり目。この時期に「なんだか体がだるい」「肌が乾燥する」「風邪をひきやすい」と感じることはありませんか?実は、この秋の土用こそ、日々の食事を見直す絶好のチャンスです。この記事では、秋の土用がいつ、なぜ体調を崩しやすいのかを分かりやすく解説し、その不調を和らげる「薬膳」の考え方を基本からご紹介します。特に、この時期にケアしたい「脾(消化器系)」と「肺(呼吸器・皮膚)」を養う食材の選び方から、家庭で手軽に作れる滋養たっぷりの炊き込みご飯、温まる味噌汁、乾燥対策のサラダまで、具体的な薬膳レシピを多数掲載。さらに、薬膳を無理なく毎日の習慣にするための買い物や献立作りのヒントもご紹介するので、今日からあなたも「食」で体を整え、秋の土用を健やかに、そして心地よく乗り切るための知恵と実践方法が、この記事で手に入ります。

目次

秋の土用とは 季節の変わり目を健やかに

日本の豊かな四季は、私たちの生活に彩りをもたらす一方で、季節の変わり目には体調を崩しやすい時期が訪れます。その中でも特に、古くから健康維持に重要な時期とされてきたのが「土用」です。土用は年に4回ありますが、この記事では「秋の土用」に焦点を当て、その時期の過ごし方や、薬膳を取り入れた健やかな生活の基本をご紹介します。

秋の土用が訪れる時期と特徴

「土用」とは、古代中国の自然哲学である五行思想に基づいた考え方で、季節の変わり目に設けられた期間を指します。具体的には、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ約18日間にわたる期間が土用とされています。秋の土用は、夏の暑さが残る時期から本格的な秋へと移り変わる時期に当たります。

秋の土用が訪れる時期は、年によって多少前後しますが、例年以下のようになります。

季節の変わり目土用の期間主な特徴
春の土用立夏前の約18日間新芽が芽吹き、陽気が高まる
夏の土用立秋前の約18日間最も暑さが厳しく、湿気が多い
秋の土用立冬前の約18日間残暑と肌寒さが混在し、乾燥が始まる
冬の土用立春前の約18日間一年で最も寒く、陰気が強い

この時期の大きな特徴は、気温の寒暖差が激しくなることです。日中はまだ夏の名残を感じる暑さがある一方で、朝晩はぐっと冷え込む日が増え、体感温度の変化が大きくなります。また、空気が徐々に乾燥し始めるのも秋の土用の特徴の一つです。これらの気候の変化は、私たちの体に様々な影響を及ぼす可能性があります。

なぜこの時期に体調を崩しやすいのか

秋の土用は、まさに季節の変わり目であり、私たちの体が新しい環境に適応しようとするため、大きな負担がかかりやすい時期です。この時期に体調を崩しやすい主な理由としては、以下のような点が挙げられます。

  • 急激な気温の変化:日中と朝晩の寒暖差が大きくなることで、体温調節を司る自律神経が乱れやすくなります。自律神経の乱れは、倦怠感、不眠、頭痛など、様々な不調を引き起こす原因となります。
  • 空気の乾燥:秋が深まるにつれて空気は乾燥し、呼吸器系の粘膜が弱まり、風邪や喉の痛み、咳などの症状が出やすくなります。また、皮膚の乾燥も進み、肌トラブルの原因にもなります。
  • 消化器系の負担:五行思想において土用は「土」の気が旺盛になる時期とされ、「脾」(消化吸収を司る臓器)に負担がかかりやすいと考えられています。夏の間に冷たい飲食物を摂りすぎた影響もあり、胃腸の調子を崩しやすい傾向にあります。食欲不振や消化不良、便秘、下痢などの症状が現れることも少なくありません。
  • 免疫力の低下:上記のような体の負担が重なることで、全体の免疫力が低下し、病気にかかりやすくなります。

このように、秋の土用は気候の変化が著しく、私たちの心身に大きな影響を与える時期だからこそ、日頃から意識的に体調管理を行うことが非常に重要となります。薬膳の知恵を借りて、この季節を健やかに乗り切りましょう。

薬膳の考え方と秋の土用への応用

薬膳とは、日々の食事を通じて心身のバランスを整え、病気を未然に防ぐという東洋医学の考え方に基づいた食事法です。単に栄養を摂取するだけでなく、食材が持つ薬効や季節、個人の体質を考慮して献立を立てるのが特徴です。特に季節の変わり目は体調を崩しやすいため、薬膳の知恵を取り入れることで、体の内側から季節の変化に適応し、健やかに過ごすことを目指します。

秋の土用は、夏の疲れが残る中で本格的な秋へと移行する大切な時期です。この時期は、夏の間に溜め込んだ湿気や熱が体内に残りつつ、徐々に乾燥が進むという複雑な気候変動が起こります。薬膳では、このような季節の特性を理解し、それに合わせて食事内容を調整することが、体調を崩さずに秋を乗り切るための鍵と考えます。

秋の土用に注目したい「脾」と「肺」

東洋医学において、秋の土用を含む秋の季節に特に注目すべきは「脾(ひ)」と「肺(はい)」の二つの臓器です。これらは五臓の中でも特に季節の影響を受けやすく、体全体の健康状態に深く関わっています

「脾」の働きと秋の土用でのケア

「脾」は、西洋医学でいう脾臓だけでなく、消化吸収全般を司る重要な臓器と考えられています。飲食物から「気(き)」や「血(けつ)」を生成し、全身に栄養を供給する役割を担っています。夏の暑さや冷たいものの摂りすぎで「脾」が弱っていると、消化不良や倦怠感、むくみなどの症状が出やすくなります。秋の土用は、夏のダメージを引きずりやすい時期であるため、「脾」の働きを整えることが非常に重要です。具体的には、消化に負担をかけず、体を温める食材を選ぶことが推奨されます。

「肺」の働きと秋の土用でのケア

「肺」は、呼吸器系全体を指し、「気」の巡りをコントロールし、免疫機能にも深く関与しています。また、皮膚や粘膜とも密接な関係があり、体の潤いを保つ役割も担っています。秋は空気が乾燥し始めるため、「肺」が影響を受けやすく、咳や喉の痛み、乾燥肌などの不調が出やすくなります。薬膳では、秋の乾燥から「肺」を守り、潤いを与える食材を積極的に摂ることで、これらの不調を予防し、免疫力を高めることを目指します。

このように、秋の土用においては、「脾」を整えて夏の疲れを取り除き、「肺」を潤して乾燥から守るという二つの視点から薬膳を取り入れることが、健やかな体調を維持するための基本となります。次の表で、秋の土用における「脾」と「肺」のポイントをまとめました。

臓器主な働き(東洋医学的視点)秋の土用での影響・注意点薬膳でのケアの方向性
脾(ひ)飲食物の消化吸収、気血の生成、栄養の全身への運搬夏の疲れや冷えにより機能が低下しやすい。消化不良、倦怠感、むくみ消化に良いものを摂り、体を温めて機能を回復させる
肺(はい)呼吸、気の巡り、皮膚・粘膜の潤い、免疫機能秋の乾燥により機能が影響を受けやすい。咳、喉の痛み、乾燥肌、免疫力低下潤いを与える食材で乾燥を防ぎ、免疫力を高める

簡単に作れる 秋の土用薬膳レシピ集

秋の土用は、夏の疲れが残る体と冬への準備を始める体が交錯する時期です。この時期の体調管理には、「脾(消化器系)」と「肺(呼吸器系)」を労わる薬膳が特に効果的です。ここでは、忙しい日々の中でも手軽に作れる、秋の土用にぴったりの薬膳レシピをご紹介します。食材が持つ本来の力を活かし、心身ともに健やかな秋を過ごしましょう。

滋養たっぷり きのこの炊き込みご飯

きのこは「気」を補い、消化吸収を助ける「脾」に優しい食材です。また、食物繊維が豊富で腸内環境を整え、秋の乾燥による便秘対策にも役立ちます。この炊き込みご飯は、様々なきのこの旨味が凝縮され、食欲の秋にぴったりの一品です。

材料(2〜3人分)

食材分量
2合
しめじ1/2パック
まいたけ1/2パック
しいたけ2〜3枚
人参1/4本
油揚げ1枚
だし汁360ml(米2合の目盛りまで)
醤油大さじ2
みりん大さじ1
大さじ1
少々

作り方

  1. 米は洗って30分ほど浸水させ、ざるにあげて水気を切ります。
  2. きのこ類は石づきを取り、食べやすい大きさにほぐしたり、薄切りにします。人参は千切り、油揚げは熱湯をかけて油抜きし、細切りにします。
  3. 炊飯器に米、だし汁、醤油、みりん、酒、塩を入れ、軽く混ぜます。その上にきのこ、人参、油揚げを乗せて炊飯します。
  4. 炊き上がったら全体を優しく混ぜ合わせ、器に盛り付けます。お好みで三つ葉などを添えても良いでしょう。

薬膳ポイント

きのこは「脾」の働きを助け、消化吸収を促進します。また、人参は「気」を補い、油揚げは豆製品で胃腸に優しく、秋の土用の体調を整えるのに役立ちます。温かい炊き込みご飯は、体を内側から温め、冷えやすい秋の体を労ります

温まる鶏肉とごぼうの薬膳味噌汁

秋の土用は、朝晩の冷え込みが厳しくなる時期。体を温める食材を使った味噌汁は、冷え対策と「脾」の養生に最適です。鶏肉は「気」と「血」を補い、ごぼうは食物繊維が豊富で、「肺」の乾燥対策や腸の働きを助けます

材料(2〜3人分)

食材分量
鶏もも肉1/2枚(約150g)
ごぼう1/2本
大根5cm
人参1/3本
こんにゃく1/4枚
だし汁600ml
味噌大さじ3〜4(お好みで調整)
長ねぎ(小口切り)適量

作り方

  1. 鶏もも肉は一口大に切ります。ごぼうはたわしで洗い、ささがきにして水に5分ほどさらし、水気を切ります。大根、人参はイチョウ切り、こんにゃくは手でちぎるか短冊切りにします。
  2. 鍋にだし汁とごぼう、大根、人参、こんにゃくを入れて火にかけ、野菜が柔らかくなるまで煮ます。
  3. 鶏肉を加え、火が通るまで煮ます。アクが出たら丁寧に取り除きます。
  4. 火を止め、味噌を溶き入れます。再度弱火にかけ、煮立つ直前で火を止めます。
  5. 器に盛り付け、長ねぎを散らしていただきます。

薬膳ポイント

鶏肉は「気」と「血」を補い、体を温める効果があります。ごぼうは「肺」の乾燥を潤し、腸の働きを活発にするため、秋の土用の便秘や肌の乾燥対策にも良いでしょう。大根や人参などの根菜類も体を温め、「脾」の消化吸収を助ける薬膳食材です。

乾燥対策に 柿とくるみの薬膳サラダ

秋は空気が乾燥し、「肺」が潤いを失いやすい季節です。このサラダは、潤いを与える柿と、肺を滋養するくるみを組み合わせた、秋の土用にぴったりの一品です。手軽に作れて、食卓に彩りを添えます。

材料(2人分)

食材分量
1個
くるみ20g
水菜1/2袋
ベビーリーフなどお好みの葉物野菜適量
【ドレッシング】
醤油大さじ1
大さじ1
ごま油小さじ1
はちみつ(またはメープルシロップ)小さじ1/2
すりごま小さじ1

作り方

  1. 柿は皮をむき、食べやすい大きさに切ります。くるみは粗く刻むか、フライパンで軽くローストして香ばしさを引き出します。
  2. 水菜は3〜4cm長さに切り、ベビーリーフと共に冷水にさらし、パリッとさせて水気をよく切ります。
  3. ボウルにドレッシングの材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせます。
  4. 器に葉物野菜、柿、くるみを盛り付け、食べる直前にドレッシングをかけていただきます。

薬膳ポイント

柿は体を潤し、熱を冷ます作用があり、秋の乾燥による喉の痛みや咳、便秘などに良いとされます。くるみは「肺」と「腎」を滋養し、乾燥した体を潤す効果が期待できます。ごま油やはちみつも潤いを与え、秋の土用の乾燥対策にぴったりの組み合わせです。

薬膳生活を無理なく続けるためのコツ

秋の土用の薬膳生活は、一度きりのイベントではなく、日々の暮らしに溶け込ませることが大切です。ここでは、「無理なく、楽しく、長く続ける」ための具体的な工夫をご紹介します。

買い物や献立作りの工夫

薬膳と聞くと特別な食材が必要だと思われがちですが、実は身近なスーパーで手に入る食材で十分実践できます。賢く買い物をして、毎日の献立に上手に薬膳を取り入れるためのコツを見ていきましょう。

項目具体的な工夫
買い物旬の食材は、その時期の体に最適な栄養素を含んでいます。スーパーの地場野菜コーナーや、季節の果物売り場を意識的にチェックしましょう。例えば、秋の土用であれば、きのこ類、根菜類、柿などがおすすめです。 また、乾物(干し椎茸、切り干し大根、高野豆腐など)は保存がきき、うま味も凝縮されているため、常備しておくと便利です。
献立作り完璧な薬膳料理を目指すのではなく、いつもの食事に薬膳の視点を少し加えることから始めましょう。例えば、いつもの味噌汁に季節のきのこをたっぷり入れたり、炊き込みご飯に滋養のあるごぼうや人参を加えたりするだけでも立派な薬膳になります。 週末に少し多めに作り置きをしておけば、平日の調理時間を短縮でき、無理なく続けられます。特に、常備菜として薬膳の考え方を取り入れた和え物や煮物を作っておくと良いでしょう。

献立を考える際は、「五味五色」を意識すると、自然とバランスの取れた食事が実現しやすくなります。全てを完璧に揃える必要はありませんが、意識するだけでも食卓が豊かになります。

薬膳を習慣にする小さなステップ

薬膳生活を始める上で最も大切なのは、「焦らず、楽しみながら、小さな一歩から始める」ことです。いきなり全てを変えようとすると挫折しやすいため、無理のない範囲で少しずつ取り入れていきましょう。

まずは一つ、取り入れてみる

例えば、毎朝飲むお茶を薬膳茶に変えてみる、おやつを市販のお菓子から季節の果物やナッツ、または手作りの薬膳スイーツに置き換えてみるなど、日々の生活の中で「これならできそう」と思うことから始めてみましょう。 味噌汁の具材に、普段使わない薬膳食材(例えば、なつめやクコの実を少量)を加えてみるのも良い方法です。

体調の変化に耳を傾ける

薬膳を実践し始めたら、自分の体調の変化に意識を向けることが重要です。例えば、「この食材を食べたら体が温まった」「このお茶を飲んだら気分が落ち着いた」など、小さな変化でも良いのでメモしておくと、自分に合った薬膳を見つけるヒントになります。 無理なく続けられる薬膳は、あなたの体と心の声に耳を傾けることから始まります。

完璧を目指さない

薬膳は、心身のバランスを整えるための知恵であり、厳格なルールではありません。「今日は少し疲れているから、温かい薬膳スープを飲もう」といった柔軟な考え方で取り組むことが、長く続ける秘訣です。 外食や市販品を上手に利用しつつ、できる範囲で薬膳の知恵を取り入れる。そんな肩の力を抜いた姿勢が、薬膳生活を豊かにします。家族や友人と一緒に薬膳料理を楽しむ機会を作るのも、モチベーション維持に繋がります。

まとめ

秋の土用は、夏の疲れが残り、季節の変わり目特有の体調不良に陥りやすいデリケートな時期です。特に、消化吸収を司る「脾」と、呼吸器や皮膚の乾燥に関わる「肺」が弱りやすいとされています。この時期に薬膳を取り入れることは、これらの臓器を労り、体の内側からバランスを整える上で非常に有効な手段となります。

今回ご紹介した「きのこの炊き込みご飯」や「鶏肉とごぼうの薬膳味噌汁」、「柿とくるみの薬膳サラダ」は、秋の土用に特に意識したい食材を取り入れ、手軽に作れるよう工夫されています。また、薬膳を無理なく続けるための買い物や献立作りのヒント、小さなステップからの習慣化のコツもご紹介しました。

薬膳は特別なものではなく、日々の食事を通して体と向き合う知恵です。今日からできる小さな一歩から、ぜひ秋の土用薬膳を始めてみてください。体の声に耳を傾け、適切な食材を取り入れることで、この季節の変わり目を健やかに乗り越え、来る冬への準備を整えることができるでしょう。

この記事を書いた人

石倉 るみ (公式アンバサダー)

薬に頼らず整える薬膳🌿
栄養士歴18年、薬膳料理教室を主宰するママ栄養士です。
スポーツ栄養インストラクターとして、
家庭でも実践できる「簡単薬膳」を発信しています。
軽度ADHDの息子を育てる中で、心と体を整える食卓の大切さを実感。
同じように頑張る方々に寄り添いながら、健やかな毎日を支える食を提案しています。
【体質別相談はこちら】
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