
アトピー体質で乾燥や肌荒れにお悩みの方へ。実は、肌のトラブルは「体の中から潤いが不足している」サインかもしれません。この1分で読める記事では、薬膳の知恵を取り入れ、体の中から潤いを育む食べ方をご紹介します。乾燥とアトピーの関係から、避けるべき食材、積極的に摂りたい食材、そして手軽に作れる薬膳レシピまで、今日から実践できる具体的な方法が満載。内側から肌のバリア機能をサポートし、かゆみに悩まない健やかな毎日を目指しましょう。
アトピー体質のケアに「体の中から潤す」食べ方が大切な理由
乾燥とアトピーの関係を理解する
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥やかゆみ、炎症といった症状が慢性的に現れる疾患です。特に皮膚の乾燥は、アトピー症状を悪化させる主要な要因の一つと考えられています。乾燥した皮膚は、外部からの刺激(アレルゲン、化学物質など)が侵入しやすくなり、かゆみを感じやすくなります。かゆみによって皮膚を掻きむしると、さらに皮膚のバリア機能が破壊され、炎症が拡大するという悪循環に陥りやすくなります。
この皮膚の乾燥は、単に外側からの保湿不足だけでなく、体の中から潤いが不足している状態が大きく影響していると東洋医学では考えます。体内の潤いが不足すると、皮膚だけでなく全身の乾燥が進み、アトピー性皮膚炎の症状をより複雑化させる可能性があります。
薬膳の視点から見る「潤い」の重要性
薬膳(東洋医学)では、体内のバランスを「気(エネルギー)」「血(血液)」「水(津液、体液)」の三要素で捉えます。このうち「水」は、体内の「潤い」を司る重要な要素であり、「津液(しんえき)」とも呼ばれます。津液は、皮膚や粘膜、関節などを潤し、体温を調節し、老廃物を排出するなど、生命活動に不可欠な役割を担っています。
アトピー体質の場合、この「津液」が不足している「陰虚(いんきょ)」の状態にあると考えられます。津液が不足すると、皮膚の乾燥やかゆみが増し、炎症が起こりやすくなります。また、薬膳では五臓六腑(ごぞうろっぷ)がそれぞれの役割を担い、互いに影響し合っていると考えます。特に皮膚の健康と深く関わるのが「肺」と「脾」です。
臓器(薬膳) | 薬膳における主な役割 | アトピー体質との関連性 |
---|---|---|
肺 | 呼吸器、皮膚、毛髪を司り、体表の「潤い」を保つ役割。 | 肺の機能が低下すると、皮膚が乾燥しやすくなり、バリア機能の低下に繋がります。 |
脾 | 消化吸収を司り、飲食物から「気」や「津液」を生成し全身に運搬する役割。 | 脾の機能が低下すると、「津液」の生成が滞り、体内の「潤い」不足を引き起こします。 |
このように、薬膳では皮膚の乾燥を単なる表面的な問題として捉えず、体内の「潤い」不足や内臓機能のバランスの乱れと深く関連付けて考えます。そのため、アトピー体質のケアには、体の中から「潤い」を補給し、内臓機能を整える食生活が非常に重要となるのです。
今日からできる「潤い薬膳」の基本の食べ方
アトピー体質のケアにおいて、体の内側から潤いを育む薬膳の考え方は非常に有効です。日々の食事に少し意識を向けるだけで、体質改善へとつながる第一歩を踏み出せます。ここでは、今日から実践できる「潤い薬膳」の基本的な食べ方をご紹介します。
避けるべき食材と積極的に摂りたい食材
薬膳では、食材が持つ「性味(せいみ)」と呼ばれる性質が、体へ与える影響を大きく左右すると考えます。アトピー体質のケアには、体の潤いを消耗させたり、炎症を悪化させたりする食材を避け、逆に潤いを補い、炎症を鎮める食材を積極的に摂ることが大切です。
避けるべき食材
アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる可能性のある食材は、できる限り控えるようにしましょう。特に、体内で「熱」や「湿」を生み出しやすいとされるものは注意が必要です。
食材の分類 | 具体的な食材例 | 薬膳的視点とアトピーケアへの影響 |
---|---|---|
刺激物 | 香辛料(唐辛子、胡椒など)、カフェイン(コーヒー、エナジードリンクなど)、アルコール | 薬膳では、これらは体内の「熱」を過剰に生み出し、体の「陰液(潤い)」を消耗させると考えられます。アトピーによる痒みや炎症を悪化させる要因となり得ます。 |
油っこいもの、揚げ物 | フライドチキン、天ぷら、ドーナツ、バターを多用した料理 | 体内で「湿熱」を生み出しやすく、これが皮膚の炎症や痒みを助長するとされています。消化器系への負担も大きいです。 |
甘いもの、精製された砂糖 | ケーキ、チョコレート、清涼飲料水、菓子パン | 過剰な糖分摂取は、体内で「湿」を生み出し、炎症を悪化させることがあります。また、腸内環境の悪化にもつながりやすいです。 |
加工食品、添加物の多いもの | インスタント食品、レトルト食品、スナック菓子 | 自然な食材から離れたこれらの食品は、体への負担が大きく、解毒機能に影響を与え、アトピーの症状を悪化させる要因となる可能性があります。 |
積極的に摂りたい食材
体の中から潤いを補い、炎症を鎮める働きのある食材を意識して食事に取り入れましょう。特に、薬膳で「滋陰潤燥(じいんじゅんそう)」や「清熱(せいねつ)」の作用があるとされるものがおすすめです。
食材の分類 | 具体的な食材例 | 薬膳的視点とアトピーケアへの影響 |
---|---|---|
潤いを補う食材(滋陰潤燥) | 白きくらげ、梨、蓮根、山芋、豆腐、豆乳、豚肉、鴨肉、卵、ごま、はちみつ | これらは薬膳で体の乾燥を防ぎ、皮膚に潤いを与える「陰液」を補うと考えられます。アトピーによる乾燥や痒みの緩和に役立ちます。 |
炎症を鎮める食材(清熱) | 大根、きゅうり、トマト、緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)、青魚(サバ、イワシなど) | これらの食材は、体内の余分な熱を冷まし、炎症を鎮める作用が期待できます。特に青魚に含まれるDHA・EPAは、アトピーの炎症反応を和らげるとして注目されています。 |
脾胃(消化器系)を整える食材 | かぼちゃ、さつまいも、米、きのこ類(しいたけ、えのきなど)、大豆製品(納豆、味噌など) | 薬膳では、脾胃が健康であると、栄養の吸収が良くなり、体全体が潤うと考えます。これらは脾胃の働きを助け、消化吸収能力を高めます。 |
腸内環境を整える食生活のポイント
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫機能の約7割を担う重要な臓器です。アトピー体質のケアにおいて、腸内環境を整えることは、体の中から根本的に体質を改善するために非常に重要なポイントとなります。
腸内環境を良好に保つことで、免疫システムのバランスが整い、アトピーの炎症反応が穏やかになることが期待できます。
発酵食品を積極的に摂る
納豆、味噌、醤油、ヨーグルト、漬物といった発酵食品には、腸内フローラのバランスを改善する善玉菌が豊富に含まれています。これらの食品を日常的に摂取することで、腸内の環境が整い、免疫機能の正常化や炎症の抑制に寄与します。
食物繊維を十分に摂る
野菜、きのこ、海藻、果物、玄米、雑穀などに含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、その増殖を助けます。また、便通を促し、体内の有害物質の排出を助けることで、腸への負担を軽減し、アトピーの症状緩和につながります。
バランスの取れた食事を心がける
特定の食品に偏らず、主食、主菜、副菜をバランス良く摂ることで、必要な栄養素を網羅的に摂取し、腸内環境だけでなく全身の健康をサポートします。多様な食材から様々な栄養を摂ることが、健やかな体を作る基本です。
よく噛んで食べる
食べ物をよく噛むことは、消化酵素の分泌を促進し、胃腸への負担を軽減します。これにより、消化吸収がスムーズになり、栄養素が効率良く体に取り込まれるため、腸内環境の改善にもつながります。
規則正しい時間に食事をする
毎日の食事時間を一定に保つことで、体のリズムが整い、消化器系の働きが安定します。不規則な食事は胃腸に負担をかけ、腸内環境の乱れを引き起こす可能性があるため、規則正しい食習慣を心がけましょう。
アトピー体質のケアに役立つ簡単薬膳レシピ
アトピー体質のケアには、体の中から潤いを補給し、炎症を鎮め、胃腸の働きを整えることが大切です。ここでは、忙しい毎日でも手軽に作れる、薬膳の知恵が詰まった簡単レシピを3つご紹介します。それぞれの食材が持つ薬膳的効能を理解し、体質改善に役立てましょう。
潤い補給に!白きくらげと梨の甘露煮
乾燥による肌のかゆみや、空咳が気になる方におすすめのデザートです。白きくらげと梨は、体内の「陰液(潤い)」を補い、肺を潤す作用があるとされています。特に、白きくらげは「シロキクラゲ多糖体」という成分を含み、ヒアルロン酸を凌ぐ保水力があると言われています。継続して食べることで、肌の乾燥、しわ、たるみの予防・改善が期待できます。 梨は肺に潤いを与え、体の余分な熱を冷ます働きがあり、乾燥性の咳や喉の渇き、肌の乾燥におすすめです。
材料(2人分)
食材 | 分量 |
---|---|
乾燥白きくらげ | 5g |
梨 | 1個 |
水 | 400ml |
氷砂糖 | 大さじ2~3(お好みで調整) |
クコの実(あれば) | 小さじ1 |
作り方
- 乾燥白きくらげはたっぷりの水に20分ほど浸して戻し、石づきがあれば取り除き、食べやすい大きさにちぎります。
- 梨は皮をむき、芯を取り除いて、いちょう切りにします。
- 鍋に水と戻した白きくらげを入れ、弱火で20~30分、白きくらげが柔らかくなるまで煮ます。とろみが出るまで煮込むのがおすすめです。
- 梨と氷砂糖を加え、梨が柔らかくなるまでさらに煮ます。
- 火を止め、お好みで水で戻したクコの実を加えて混ぜ合わせたら完成です。
温かくても冷やしても美味しくいただけるので、食後のデザートやおやつとして取り入れて、体の中から潤いをチャージしましょう。
炎症を鎮める!蓮根と大根のおろし和え
体内の余分な熱を冷まし、炎症を鎮める働きが期待できるレシピです。蓮根は加熱することで胃腸を整える働きがあるとされ、生では炎症を抑える収れん作用が期待できます。 大根は、体内の余分な熱を取り、肺を潤す作用があり、喉の痛みや咳の改善も期待できます。 また、消化酵素が豊富で、胃腸の働きを助けるため、アトピー体質の方の消化器ケアにも適しています。
材料(2人分)
食材 | 分量 |
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蓮根 | 100g |
大根 | 100g |
ポン酢 | 大さじ2 |
かつお節 | 適量 |
青ネギ(小口切り) | 適量 |
作り方
- 蓮根は皮をむき、薄切りにしてから細切りにし、酢水(分量外)に5分ほどさらしてアク抜きをします。
- 大根は皮をむき、すりおろして軽く水気を切ります。
- 鍋に湯を沸かし、水気を切った蓮根をさっと茹で、シャキシャキ感を残す程度でザルにあげて冷まします。
- ボウルに茹でた蓮根、大根おろし、ポン酢を加えてよく和えます。
- 器に盛り付け、かつお節と青ネギを散らしたら完成です。
生の蓮根と大根の持つ薬効を活かし、体の内側から炎症を穏やかに鎮める一品です。食欲がない時や、さっぱりと食べたい時にもおすすめです。
胃腸に優しい!山芋と豆腐の滋養スープ
胃腸の働きが弱い方や、疲れやすい方におすすめの滋養スープです。山芋は胃腸を補い、消化を助け、滋養強壮に良いとされています。 特に、体を潤す力も持ち合わせているため、乾燥肌のケアにも役立ちます。 豆腐は体内の余分な熱を取り除き、体を潤す作用があり、消化吸収が良いのでどのような体質の方にも適しています。
材料(2人分)
食材 | 分量 |
---|---|
山芋 | 100g |
絹ごし豆腐 | 1/2丁(約150g) |
鶏ひき肉 | 50g |
だし汁 | 400ml |
薄口醤油 | 小さじ1 |
みりん | 小さじ1 |
塩 | 少々 |
水溶き片栗粉 | 適量 |
生姜のすりおろし | 適量 |
作り方
- 山芋は皮をむき、すりおろします。
- 豆腐は1cm角に切ります。
- 鍋にだし汁を入れ、鶏ひき肉を加えてほぐしながら煮ます。アクが出たら取り除きます。
- 鶏ひき肉に火が通ったら、豆腐を加え、薄口醤油、みりん、塩で味を調えます。
- 煮立ったら山芋のすりおろしを加え、全体を軽く混ぜます。
- 水溶き片栗粉でとろみをつけ、器に盛り付けたら生姜のすりおろしを添えて完成です。
温かく優しい味わいのこのスープは、胃腸に負担をかけずに栄養を補給でき、体の中からじんわりと滋養を与えてくれます。
まとめ
アトピー体質のケアには、表面的な保湿だけでなく、体の中から「潤い」を補給する食生活が不可欠です。乾燥肌や炎症は体内のバランスの乱れから生じることが多いため、薬膳の知恵を取り入れ、潤い食材や腸内環境を整える食べ方を実践しましょう。白きくらげや蓮根、山芋など身近な食材を活用したレシピや、質の良い水分補給、季節に合わせた食事が、アトピー症状の緩和と体質改善へと繋がります。今日からできる「体の中から潤す」習慣で、健やかな肌を目指しましょう。
この記事を書いた人

石倉 るみ (公式アンバサダー)
薬に頼らず整える薬膳🌿
栄養士歴18年、薬膳料理教室を主宰するママ栄養士です。
スポーツ栄養インストラクターとして、
家庭でも実践できる「簡単薬膳」を発信しています。
軽度ADHDの息子を育てる中で、心と体を整える食卓の大切さを実感。
同じように頑張る方々に寄り添いながら、健やかな毎日を支える食を提案しています。
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